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大阪府食の安全・安心推進条例(仮称)制定にあたって (提言) 平成18年9月 食の安全・安心大阪府民会議

1. はじめに 2. 条例の制定にあたっての基本的な考え方 3. 大阪府が今後取組むべき施策の主な視点
4. その他の必要な施策について 5. むすびに


1. はじめに


平成15年の食品安全基本法の制定を契機に、内閣府に「食品安全委員会」が設置され、食品衛生法等関連する法令が改正されるなど、食の安全に係る行政の仕組みや考え方が大きく変わった。例えば、国の取組みにおいて、輸入食品に関する包括的な対応や、いわゆる健康食品による被害の未然防止など、予防的観点を重要視する方向へと進んできている。また、平成18年5月から残留農薬などのポジティブリスト制度が施行され、生産現場においても、GAP(適正農業規範)による取組み等が始まっている。
かつて大阪府内では、O157集団食中毒事件、低脂肪乳食中毒事件、野菜の産地偽装表示事件など、食の安全・安心を揺るがす事件が発生し、府民の食に対する不安感は増大した。
このため、大阪府においては、平成14年11月から、食に関わる府民の不安感を払拭するための緊急対策として、庁内に知事を委員長とした部局横断型の「食の安全・安心推進委員会」を設置し、さらに、消費者団体、事業者団体、学識経験者、経済界、関係行政機関が一堂に会する「食の安全・安心大阪府民会議」(以下「府民会議」という。)を立ち上げて、五つの約束(スピーディな情報提供、相談窓口の整備、事故の未然防止と拡大防止、指導・監視の徹底、食育の推進)のもとに、消費者の信頼回復をめざした新たな施策を展開している。
これまでの、関係者の努力により徐々に改善してきているものの、府民意識調査を見る限り、今なお過半数の人が、食の安全に対して不安感を持っている状況にある。
こうした状況において、食の安全にかかわる行政の仕組みの変化や緊急的な取組みの成果を踏まえ、今後とも、大阪府が、食の安全・安心に係る施策を生活者の視点から総合的に進めていくため、基本的な考え方の確立と施策推進に資する「大阪府食の安全・安心推進条例(仮称)」(以下「条例」という。)の制定を検討することとなった。

条例の制定にあたっては、日本の食料事情、日本人の食生活なども視野に入れ、食料自給率の向上をはじめ、いたずらに食品を廃棄することや食べ残しの増加などへの反省、適切な食生活のあり方なども、食の安全・安心と切り離せない課題であることを認識する必要がある。
また、食は、科学であると同時に、文化でもある。人間の価値観、生き方の問題と深くつながる問題でもあり、人間の生きる力、社会の活力とも密接につながっている。
食を取り巻くこのような多面的な課題を踏まえつつ、府民の自主性を尊重し、日本の食文化の発展に寄与していくべきである。そのために、関係者が協力して、かつては「天下の台所」、今は「食いだおれのまち」と言われる大阪にふさわしい条例を検討する必要がある。

府民会議としても、大阪府が制定する条例の内容について提言していくため、「食の安全・安心推進条例(仮称)検討委員会」(以下「委員会」という。別紙委員名簿)を設置し、6回の検討を行った。
委員会は、大阪府から示された条例案の項目(資料p19)及び論点を中心に、意見・情報を交換し、次のとおり提言するものである。提言をまとめるにあたって、各委員の専門分野や立場の違いから、必ずしも全会一致でまとまった意見ばかりではないが、食の安全・安心を推進し、府民の健康を守るということの重要性については、すべての委員が認識を一にしているものである。
条例の制定、運用、施策の具体化にあたっては、この提言が十分に尊重され、反映されるよう期待するものである。

1. はじめに 2. 条例の制定にあたっての基本的な考え方 3. 大阪府が今後取組むべき施策の主な視点
4. その他の必要な施策について 5. むすびに


1. はじめに


平成15年の食品安全基本法の制定を契機に、内閣府に「食品安全委員会」が設置され、食品衛生法等関連する法令が改正されるなど、食の安全に係る行政の仕組みや考え方が大きく変わった。例えば、国の取組みにおいて、輸入食品に関する包括的な対応や、いわゆる健康食品による被害の未然防止など、予防的観点を重要視する方向へと進んできている。また、平成18年5月から残留農薬などのポジティブリスト制度が施行され、生産現場においても、GAP(適正農業規範)による取組み等が始まっている。
かつて大阪府内では、O157集団食中毒事件、低脂肪乳食中毒事件、野菜の産地偽装表示事件など、食の安全・安心を揺るがす事件が発生し、府民の食に対する不安感は増大した。
このため、大阪府においては、平成14年11月から、食に関わる府民の不安感を払拭するための緊急対策として、庁内に知事を委員長とした部局横断型の「食の安全・安心推進委員会」を設置し、さらに、消費者団体、事業者団体、学識経験者、経済界、関係行政機関が一堂に会する「食の安全・安心大阪府民会議」(以下「府民会議」という。)を立ち上げて、五つの約束(スピーディな情報提供、相談窓口の整備、事故の未然防止と拡大防止、指導・監視の徹底、食育の推進)のもとに、消費者の信頼回復をめざした新たな施策を展開している。
これまでの、関係者の努力により徐々に改善してきているものの、府民意識調査を見る限り、今なお過半数の人が、食の安全に対して不安感を持っている状況にある。
こうした状況において、食の安全にかかわる行政の仕組みの変化や緊急的な取組みの成果を踏まえ、今後とも、大阪府が、食の安全・安心に係る施策を生活者の視点から総合的に進めていくため、基本的な考え方の確立と施策推進に資する「大阪府食の安全・安心推進条例(仮称)」(以下「条例」という。)の制定を検討することとなった。

条例の制定にあたっては、日本の食料事情、日本人の食生活なども視野に入れ、食料自給率の向上をはじめ、いたずらに食品を廃棄することや食べ残しの増加などへの反省、適切な食生活のあり方なども、食の安全・安心と切り離せない課題であることを認識する必要がある。
また、食は、科学であると同時に、文化でもある。人間の価値観、生き方の問題と深くつながる問題でもあり、人間の生きる力、社会の活力とも密接につながっている。
食を取り巻くこのような多面的な課題を踏まえつつ、府民の自主性を尊重し、日本の食文化の発展に寄与していくべきである。そのために、関係者が協力して、かつては「天下の台所」、今は「食いだおれのまち」と言われる大阪にふさわしい条例を検討する必要がある。

府民会議としても、大阪府が制定する条例の内容について提言していくため、「食の安全・安心推進条例(仮称)検討委員会」(以下「委員会」という。別紙委員名簿)を設置し、6回の検討を行った。
委員会は、大阪府から示された条例案の項目(資料p19)及び論点を中心に、意見・情報を交換し、次のとおり提言するものである。提言をまとめるにあたって、各委員の専門分野や立場の違いから、必ずしも全会一致でまとまった意見ばかりではないが、食の安全・安心を推進し、府民の健康を守るということの重要性については、すべての委員が認識を一にしているものである。
条例の制定、運用、施策の具体化にあたっては、この提言が十分に尊重され、反映されるよう期待するものである。